SHINOS AMPLIFIER COMPANY Interview

※訪問時には新型コロナウィルス感染防止の為、細心の注意を払い感染対策を講じた上で撮影・取材を行っております。

「音楽で人を感動させる。」

今回はSHINOS AMPLIFIER COMPANY篠原さんのインタビューとなります。

Lee Custom Amplifier様訪問時にたまたまご挨拶させていただいたことがきっかけで、インタビューが実現しました。

篠原さんがどのようなこだわりや想いをもってアンプ制作を行っているのかをご覧ください。

ギターを始めたきっかけを教えてください。


学生の頃にさかのぼります。

学校の先輩たちが学園祭で、バンドを組んで、チェッカーズのコピーバンドをやっていたのを見て、バンドやりたい、ギターやりたいという気持ちになり、ギターを始めました。当時新聞配達を小学校6年生の頃からやっていたので、そのお金でギターとアンプを買いました。

ギターとアンプは何を購入されましたか?


当時、音楽番組を見ているとローランドのJC120をプロの人たちが使っていたので、これだと思って中学生なのにJC120を自分で買いました。

ギターはハリーっていう黒いストラトでしたね。チェッカーズの亨さんがストラトを使っていたから。それでチェッカーズのコピーバンドを始めました。ギザギザハートの子守歌を、最初に弾いたのを覚えています。

当時はプロのバンドマンに憧れていましたね。この時に人生で夢を描くという事に出会いました。それまでは特に、将来何になりたいとかは全くなかったのですが、音楽やバンドって人生をかけてもやりたくなるものですよね。ギターとの出会いが自分の進んでいく道を、照らしてくれたような感じです。

とにかく「音楽で人を感動させたい」と思っていました。

バンドは組まれていましたか?


中学の時にバンドを組んでから、そのバンドで活動してきましたよ。

ギターを担当していたのですが、途中からはベースになりました。最初ギターだったけどクビにされて。ここまでやってきたのにマジかよ()ってなりましたね。仕方なくベースになった形です。

それは驚きですね!どのタイミングでアンプ制作を志すようになったのでしょうか?


アンプ製作の前に、まずローディーになりました。これが音楽業界に入ったきっかけ、入口になります。当時ローディー会社が人材を募集していたんですよ。その頃バンドをやっていたので、まずはローディーから音楽業界に入り込んで、そこからのし上がっていけないかなぁという企みです。ローディーになる気は全くなかったですね。

ローディーはプロミュージシャンの楽器の事を、任せられる重要な仕事です。ツアー中にギターやアンプの調子が悪いことって度々あるんですが、自分は楽器のプロなのに、そういうトラブルに対応できませんでした。

ある時バンドの事務所の人が、何気なくこう言いました。「現場のローディーさんが、修理とかできたらいいのに。アメリカのギターテクニシャンは、ギターを直せたりフレットの打ち換えができたり、そういう人がいるんですよ。」テクニシャンがギターを直すことができるのは当然と言えば当然なのですが、これを聞いたとき、自分の中でマジか・・。と。「ガシャ」ってスイッチが切り替わったのを覚えています。自分はそういうアメリカのギターテクニシャンのようになる。と決めました。

この出来事がきっかけでローディーからテクニシャン寄りになっていったのですね。


そうですね。現場で特に必要となってくるのが、ギターの調整、ナットやフレットといった消耗品の交換ですね。アンプの方では真空管交換とバイアス調整の技術が必要とされました。当時はアンプに関する情報がほとんど無かったので、真空管オーディオの本で勉強しました。バイアス調整について勉強していると、「シャーシーの開け方はこうです。」とか書いてあって、オーディオやアンプの作り方が書いてあるんです。作り方が書いてあるので、ギターアンプを作りたいと自然に思い、やり始めました。

 ローディーになって良かったことはプロの音を聴くことができた点ですね。プロが実際に演奏する、マイクを通す前のアンプから出る音って聴けないじゃないですか。TVから流れてくる音や、ライブでメインスピーカーを通じて出てくる音は聴こえますけど。僕はアンプから出る生の音を聴くことができたので、それが自分の中で「普通の音」になるんですよ。なので今までのアマチュアの音はリセットされました。アンプを作る際に、プロの音という最低ラインが自身の中にあるので、それより劣るわけにいかないわけですよ。

SHINOSが目指す目標や実現したい世界観は何でしょうか?

 

キーワードは「音楽で人を感動させる」です。全部これに繋がっています。これこそSHINOSが大切にしている理念、ミッションです。

ただ自分の趣味でアンプを作るのではなく、「音楽で人を感動させる」という最初に描いたビジョンを忘れていませんでした。自分の演奏では感動を与えられなくても、自分がメンテナンスしたギター、作ったアンプをプロミュージシャンが弾いて人々に感動を与えられたら、間接的ですが自分の理念を実現できると思いました。

SHINOSの今後の展望について教えてください。


海外進出ですね。最初SHINOSは殆どプロミュージシャン達しか使っていなかったんですが、徐々に一般の方たちからのニーズも増えてきて、いろんなところにSHINOSアンプが渡り始めました。そうなるとまだ人々に触れられていないのは海外です。

2017年からSHINOSNAMM SHOWに参加しています。アメリカに行くとSHINOSのブースは人々を止めることが出来ません。大勢の人が行きかう中で、誰もSHINOSのブースに目も留めない。最初は本当に悔しい思いをしました。全然相手にしてもらえないのです。日本にいたらSHINOS AMPを知っている人も多くなりましたが、この広い世界の中へ飛び込むと全く相手にされない。日本のプロ野球選手が渡米してメジャーリーガーとして結果を残すように認められたいですよね。

昨年のNAMMでようやく立ち寄ってくれる人が、ちらほら出てきました。SHINOSの製品がアメリカの楽器店でも流通して、現地のミュージシャンに使ってもらえるようになる。ここを目指して引き続き取り組んでいきます。

今回JAM²に出品していただいたきっかけを教えてください。


実は楽器シェアリングサービスは、SHINOSでも事業として計画していたことがありましたが、結局は着手しませんでした。JAM²の話を聞いて、同じことを考える人がいるものだなと思ったのが今回出品を決めた理由の一つです。

LCA(Lee Custom Amplifier)
が既にJAM²に出品していたことも大きいですね。SHINOSLCAでコラボ企画をしてアンプを作ったり、LCAは凄く協力しあっているメーカーでもあります。JAM²に出品するといろんな人に弾いてもらうチャンスが増えますよね。このシェアリングのシステムを自社でやることを今は考えていないので、JAM²に出品しました。

ご出品いただき本当にありがとうございます。最後に篠原さんの所有機材を教えてください。


僕、機材もってないんですよ。20年くらい仕事一辺倒で来たので、趣味でもやっていません。というか趣味が無いです。24時間仕事をしています。寝ている時も、修理で直らないアンプを、夢の中で考えていたり、休みの日も何かいつもヒントが無いかなど考えているので、ギターの演奏は皆さんに楽しんで頂ければそれで充分です。

あえて言うなら、自分で作ったテレキャスかな、今はチェック用で使っていますが、

これも自分が弾くために作ったわけではなく、ギター作りやメンテナンスの方法を覚えるためにKANJI GUITARの川端完之さんに、教えてもらいながら作りました。合計すると4本作らせてもらいましたね。もうギターを作ることはしていませんが、川端完之さんから受け継いだ技術は、ギター修理やメンテナンスの方で役立っています。

素敵なお話をたくさんお聞かせいただきありがとうございました! 引き続きよろしくお願いします!

取材協力≫

SHINOS AMPLIFIER COMPANY

東京都杉並区久我山1-7-41岩崎通信機11号棟1
https://shinosamp.com/