当時、音作りはアンプだけで完結させるものと考えていて、特に歪み系エフェクターに関しては信用できずにいました。
ある時に李さんと不意にエフェクターの話になったことがありました。当時、唯一「使っていてストレスの無い歪み系エフェクター」がVOXのサチュレーターでした。所持して使っていることを話すのですが、実は李さんがそのエフェクターの設計者だったということを知ります。これには本当に驚きした。エフェクターの可能性をものすごく感じ、見方も180度変わりました。「こんなサウンドは作れる?」「こういうことは可能?」「こうなって欲しい」など、僕の様々な要望に李さんは全て「出来ます」の返事のみでした。この会話はidea立ち上げに大きく影響してきます。
(※JAM²では李さんのエフェクターを取扱いし、李さんのインタビュー記事も掲載しています。気になる方はそちらもご覧ください。)
製造してもらったMarshall JCM800modを使い込んでいく中で大きなゲインの変化はアンプで追い込むよりエフェクターを使った方が望んだ結果が出るかもしれないというアドバイスを受けることになります。ですが、所持していたオーバードライブやディストーションなどでは出しし切れないサウンドのイメージがあって、その可能性を探っていく過程で、「エフェクターをmodするのも良いけど、自分で作ってみる?」ということで、月の半分は別の仕事をしつつ半分はエフェクターの研究、修行をしに李さんがいる東京へ長野から通い始めます。
様々な経験、数ヶ月のロードテストを経て理想のサウンドを最初にかたちにしたのがIDEA-TSX ver.1とIDEA-DSX ver.1です。その後に改良を重ね、現在のIDEA-TSX ver.2とIDEA-DSX ver.2の2機種が完成しました。この2つは往年の名機TS808とDS-1へのリスペクトを込めつつも仕様、サウンド等をモダンに仕上げています。その後はファズや他の歪み系など僕がストレスを感じることがないエフェクターを作りました。